不正受給が747億円
コロナ禍の雇用調整助成金、まだ回収できていない不正受給が747億円・・・会計検査院が指摘しました。
会計検査院は9月29日、雇用調整助成金などを不正に受け取った事業主に、国が返還を求めているお金(債権)の管理について、厚生労働大臣に対し、是正改善の処置を求め、あわせて意見を表示しました。
コロナ禍の間、雇用調整助成金は、要件を緩めた「コロナ特例」で、多くの会社を支えました。雇用調整助成金、緊急雇用安定助成金、休業支援金、休業給付金の4つを合わせると、令和元年度から6年度までの支給は、約1,352万件、6兆8,725億円にのぼります。コロナ前の令和元年度は6,401件、42億円でしたから、まさに桁違いの規模です。
一方で、早く支給するために、申請書類を簡単にし、審査も急いだことなどから、不正受給も相次ぎました。不正受給などで国が返還を求めている債権は、令和元年度末の1,780件、62億円から、令和6年度末には18,814件、747億円にまで増えています。
会計検査院が13の労働局を調べたところ、調べた2,054件(214億円)のうち、1,037件(104億円)で、督促状の送付などが、きちんと行われていませんでした(重なりがあります)。
・支払いがないのに、納付を促す連絡をしていなかった:339件
・督促状を送っていなかった:994件
・裁判の手続などで支払いを求める依頼をしていなかった:119件
・時効を止める手続を一度もしないまま、時効が完成してしまった:91件
また、時効が完成したのに、1年以上そのままになっていたものも41件ありました。
福島労働局の例では、ある事業主に約1,598万円の返還を求める納入告知書を送ったあと、支払いがないのに、1年以上、納付の督励も督促状の送付もしていなかったそうです。債権の数が急に増えて、対応しきれなかったことなどが理由とされています。
会計検査院は、厚生労働省に対し、労働局に改めて指導することと、たくさんの債権を効率よく管理する方法を検討することを求めています。
私は、コロナ特例そのものは、多くの雇用を守った大切な制度だったと思っています。スピードを優先したからこそ救われた会社も、たくさんあったはずです。ただ、そのすき間を突いた不正が、そのままになっているとしたら、ルールを守って申請した事業主の皆さんは、納得できないのではないでしょうか・・・。
雇用調整助成金は、事業主の皆さんが納めている雇用保険料などが元になっています。また、不正受給をすると、受け取った助成金の返還に加えて、その2割に相当する額以下の金額の納付も命じられることがあります。助成金を申請するときは、要件や書類を正しく確認することが、何より大切です。



