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シリーズ年次有給休暇 No,4「時間単位年休」とは・・・

このシリーズもラストを迎えました・・・
有給休暇の取得の促進を図るために活用できる制度として、労働基準法で1時間単位で有給休暇を取得することができる制度(時間単位年休)が定められています。制度の内容や上限日数、制度を導入する際に必要となる労使協定の記載例などを解説します。

時間単位の有給休暇(時間単位年休)とは?
例えば、1日の所定労働時間が8時間の会社において、1時間単位で時間単位年休を取得する場合、従業員は1日分の有給休暇を8分割して、有給休暇を取得することが可能になります。
有給休暇は、本来1日単位で取得することが望ましいのですが、実際には、業務上の都合で有給休暇が取得しにくい場合もあるため、より柔軟な有給休暇の取得を認めることによって有給休暇の取得の促進を図るべく、平成22(2010)年に労働基準法が改正され、時間単位年休の制度が創設されました。
時間単位年休では、1時間が最小の取得単位となり、例えば、2時間や3時間を取得単位とすることも可能です。
ただし、1時間に満たない時間(10分や30分など)を取得単位とすることは、法が想定していない運用であり、認められないものと解されます。

メリット・デメリット
時間単位年休のメリットとしては、従業員にとって有給休暇を取得しやすくなり、役所手続や通院など、用事に合わせて小刻みに有給休暇を利用できるようになります。また、会社にとっても、社内の有給休暇の取得を促進することができるというメリットがあります。
他方、会社のデメリットとしては、有給休暇の取得単位が細かくなることによって、有給休暇を管理する手間(承認手続や管理簿への記録など)が増えることとなります。

半日単位の有給との関連
時間単位年休と似た制度として、半日単位の有給休暇があります。
半日単位の有給休暇とは、1日の所定労働時間を半分に分けて、例えば午前と午後のいずれかについて有給休暇の取得を認めるものです。
これは労働基準法が定める制度に沿ったものではなく、行政通達によって、運用上そのような取り扱いが認められているものであり、時間単位年休のように要件や手続が定められているものではありません。

時間単位年休と年5日間の有給取得義務
会社は、原則として、従業員に有給休暇を年に5日間取得させることが義務付けられています。
ただし、時間単位の有給休暇の取得については、取得義務のある5日間から控除することが認められないとされている点について留意する必要があります(平成30年12月28日基発1228第15号)。

時間単位年休の上限
時間単位年休の上限は、年に5日間までとされています。
5日を超える分については、原則どおり1日単位の有給休暇を取得する必要があります。
5日に限られる趣旨としては、本来、有給休暇は心身の休養を図ることを目的とするものであることに対して、時間単位年休はいわば特例的に認められる制度であることから、取得日数に上限が設けられています。
例えば、1日の所定労働時間が8時間の会社の場合、従業員が時間単位年休を取得できる上限時間は、40時間(8時間×5日)となります。

1時間未満の時間(所定労働時間に)がある場合
所定労働時間に1時間未満の時間がある場合には、1時間未満の端数を1時間に切り上げることが必要です(平成21年5月29日基発第0529001号)。
したがって、1日の所定労働時間が7時間30分や7時間45分であれば、端数を切り上げて8時間とする(1時間単位であれば、8分割で取得できるということ)必要があります。
また、シフト制で勤務するパート・アルバイトの従業員など、日によって所定労働時間数が異なる場合には、1年間における1日の平均所定労働時間数を算出して、当該時間を時間単位年休の1日分の時間とすることとなります。

導入手続き
法律上、次の2つの要件を満たす必要があります。
1,労使協定を締結すること
2,就業規則に記載すること
「労使協定」とは、会社と、従業員の過半数を代表する者との間で作成する協定書をいいます。
労使協定の内容は法律によって定められており、会社は、従業員の過半数代表者との間で、次の内容を記載した協定を締結する必要があります(労働基準法第39条第4項、同施行規則第24条の4)。

記載内容
1,時間単位年休の対象とする従業員の範囲
2,時間単位年休を認める日数の上限
3,時間単位年休の1日の時間数
4,1時間以外の時間を単位とする場合の時間数
※本労使協定は、所轄の労働基準監督署に届け出る必要はありません。

注意事項7つ
1,対象とする従業員の範囲
時間単位年休の対象とする従業員の範囲については、特に法律上の制限はなく、会社の判断に委ねられています。
これは、時間単位年休は、例えば、工場など一斉に作業を行うことが必要とされる業務に従事する従業員などにはなじまない場合があるためです。
なお、有給休暇をどのような目的で取得するかは従業員の自由であるため、ここでは時間単位年休の利用目的を制限することはできません。
例えば、「時間単位年休の取得は、通院する目的に限り許可する」などの定めをすることはできません。

2,認める日数の上限
法律によって、時間単位年休を取得することができる日数の上限は年に5日間とされているため、労使協定においても、5日間を上限として日数を定める必要があります。

3,繰越
時間単位年休の日数は、前年度の繰り越し分の日数がある場合には、その日数を含めて5日の範囲内とする必要があります(平成21年5月29日基発第0529001号)。
例えば、1年目に40時間の時間単位年休のうち、30時間を使用し、10時間を残していた場合には、10時間が翌年度に繰り越されます。
そして、翌年度においては、この繰り越された10時間を含めて、5日の範囲内で時間単位年休を取得することができることとなります(「繰越分の10時間+5日」が取得の上限になるのではない、ということに留意する必要があります)。

4,1日の時間数
労使協定において、「1日分の有給休暇が、何時間分の時間単位年休に相当するか」を定める必要があります。
例えば、所定労働時間が8時間であれば、1日あたり8時間分の時間単位年休を取得することができる旨を定めます。
前述のとおり、1時間未満の端数がある場合には、1時間に切り上げる必要があることに留意してください。
ただし、所定労働時間が8時間であるにも関わらず、時間単位年休は1日6時間とするなど、1日の所定労働時間を下回って協定することはできません。

5,1時間以外の時間を取得単位とする場合の時間数
1時間以外の時間を取得単位とする場合、例えば、2時間や3時間を単位として時間単位の取得を認める場合には、その旨を労使協定に定めます。

6,時季変更権
有給休暇を取得することは従業員の権利ですが、会社は、有給休暇の取得を認めることによって事業運営に支障が生じるおそれがあるときは、取得するタイミングを変更するように求めることができ、これを「時季変更権」といいます。
時間単位年休も、1日単位の有給休暇と同じく、時季変更権が認められます。
ただし、従業員が時間単位の取得を申請したにも関わらず、会社がこれを1日単位に変更するよう命じることや、逆に、1日単位の有給休暇の取得を申請したにも関わらず、これを時間単位に変更するよう命じることは、時季変更権には該当せず、法律上認められません(平成21年5月29日基発第0529001号)。

7,賃金
時間単位年休を取得した場合の賃金は、1日単位の有給休暇の賃金を計算した後、その賃金をその日の所定労働時間で割ることにより算出します。

最後に、時間単位年休を取得する場合には、労使協定の締結と併せて、就業規則にも記載する必要があります。
就業規則の内容については、労使協定の記載内容と整合するように、基本的には同じ内容を記載しておけば問題ありません。

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