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■シリーズ年次有給休暇 No,3「分割付与」とは・・・

通常の年次有給休暇についてはNo,1のところで触れました。その際、「比例付与」についても取り上げまして、アルバイトやパートの有給休暇について詳しく解説しております。また、「時季変更権」についてもNo,2で詳しくやりましたので参考にしてください。
今回は「分割付与」です。これは後程やりますが、「前借り付与」と類似していますので区別が必要です。
では詳しく見ていきます。

まずは原則からおさらいです。労働基準法39条に、「入社日から6ヵ月間継続して勤務し、かつ全労働日の8割以上出勤した従業員に対しては、10日の年次有給休暇(以下、「有給休暇」といいます)が与えられる。」こうあります。
これにより、原則として、入社日から6ヵ月を経過した日が、初めて有給休暇が付与される日となり、この有給休暇が付与される日のことを「基準日」といいます。
例えば、4月1日に入社した従業員については、原則として、その6ヵ月後である10月1日が基準日となり、当該基準日に10日の有給休暇が付与されます。
また、基準日はその後も同様に10月1日とされるため、当該従業員に対しては、その翌年の10月1日が次回の有給休暇の付与日となり(付与される有給休暇の日数は11日)、それ以降も基準日が変わることはありません。

「分割付与」とは?

「分割付与」とは、入社初年度の有給休暇について、法定の基準日(入社日から6ヵ月経過日)よりも前に、本来基準日に付与される有給休暇の日数のうち、一部を分割して付与し、基準日にはその残りの日数を付与することをいいます。
例えば、4月1日に入社した従業員について、入社日に5日の有給休暇を分割付与し、法定の基準日である10月1日には、10日から5日を差し引いた、残りの5日を付与することをいいます。
有給休暇の分割付与は、法律によって定められた制度ではなく、平成6年1月4日基発1号の行政通達を根拠として、解釈上、限定的に認められている制度であることに留意する必要があります。

「前借り付与」と「分割付与」との違い

ここで新しいワードが出ています、「前借り付与」です。有給休暇の分割付与と類似するものとして、「前借り付与」といわれる運用があります。
一般に、有給休暇の「前借り付与」とは、会社が従業員の希望に応じて、その必要とする日数分の有給休暇を基準日が到来する前に付与することを認め、その後、基準日には前借りをした日数を控除して有給休暇を付与することをいいます。
前借り付与は、分割付与と異なり、具体的な付与日・付与日数を定めることなく、あくまでも従業員から希望がある場合に、その必要とする日数分だけ付与する点に特徴があります。
有給休暇の前借り付与は、法律や行政通達によって認められた運用ではありません。
基本的な考え方として、有給休暇は基準日において、法定の日数を付与する必要があり、前借りした日数を任意に差し引くことにより、これを下回る日数を付与することは、たとえ合計すれば法定の日数に達しているとしても原則として認められません。
よって、前借り付与を認める場合であっても、あくまでも分割付与の要件を満たす範囲内で運用する必要があると解されます。

「時間単位年休」と「分割付与」との違い

「時間単位年休」とは、有給休暇を時間的に分割して付与する制度として、1日の有給休暇を1時間単位で付与する制度です。
時間単位年休は、あくまでも1日の有給休暇を「時間的に」細分化して付与するものです。
他方、分割付与とは、本来基準日に一括して与えられる有給休暇の日数を分割するものです。例えば、10日の有給休暇を、2日と8日に分割するものですので、両制度を混同しないようにしてください。
*詳しくは「時間単位年休」のところで説明いたします。

「分割付与」のメリット

有給休暇を分割付与することのメリットとしては、従業員にとって、法律上は、入社日から6ヵ月が経過するまでは有給休暇が付与されないところ、それよりも早いタイミングで有給休暇が付与されるため、もし体調不良などで会社を休んだとしても、欠勤扱いにならず、分割付与された有給休暇の日数分は給与が保障されます。

「分割付与」のデメリット

有給休暇を分割付与することのデメリットとしては、会社にとって、有給休暇を付与するタイミングが増えることにより、労務管理上の負担が生じます。また、後述しますが、分割付与した次年度以降の基準日が全体的に前倒しになることにより、法定の基準日よりも前に有給休暇を付与し続けなければならないことになります。

「分割付与」を実施するために・・・

分割付与は、行政通達に基づき、次の要件を満たす場合に限り、認められます(平成6年1月4日基発1号)。
<有給休暇の分割付与の要件>
1,分割付与の対象となる有給休暇は、「入社初年度」に生じる有給休暇に限られること
2,分割付与した際の残りの有給休暇の日数は、入社後6ヵ月を経過する日までに、すべて付与すること
3,2回目の有給休暇は、分割付与した初回の付与日から起算して、1年以内に付与すること
4,出勤率の算定においては、基準日が法定よりも前倒しされることによって短縮された期間については、すべて出勤したものとして取り扱うこと

分割付与をした場合の基準日(入社後2年目の取り扱い)

<No,1 法定どおりに有給休暇を付与した場合>
2022年4月1日入社
2022年10月1日(入社6ヵ月後)→10日を付与「基準日①」
2023年10月1日(「基準日①」から1年後)→11日を付与「基準日②」

<No,2 入社日に有給休暇を分割付与した場合場合>
2022年4月1日入社→5日を分割付与「基準日①」
2022年10月1日(入社6ヵ月後)→残り5日(10日-5日)を付与
2023年4月1日(分割付与した日である「基準日①」から起算して1年以内)→11日を付与「基準日②」
2024年4月1日→11日を付与(「基準日②」から1年後)「基準日③」

ここでのポイントは、入社後2年目の基準日が、No,1では2023年10月1日であるのに対して、No,2では2023年4月1日とされている点です。
これは、No,2では、入社日に分割付与をしたことによって、その付与日が起算日となり、付与日から起算して1年以内に有給休暇を付与しなければならないためです「上記要件3」。
つまり、有給休暇を分割付与した場合は、入社後2年目以降において、法定の基準日と比べて、基準日を全体的に前倒しにする必要があります。

*基準日を統一した場合の出勤率

法律上、有給休暇が付与されるためには、全労働日の8割以上を出勤することが要件とされています。
このとき、有給休暇を分割付与することによって、法定の有給休暇の基準日と比べて短縮された期間(前倒しされた期間)の出勤率の算定においては、行政通達に基き、その期間については全期間を出勤したものとみなす必要があります「上記要件4」。

結果として、分割付与に伴う入社後2年目の有給休暇の出勤率の算定は、次のようになります。
(実際の出勤日数+短縮された期間のすべての労働日数)÷1年間の労働日数(短縮された期間を含む)
なお、3回目の基準日以降は、次の基準日までの期間が通常どおり1年になりますので、その1年間の出勤実績で出勤率を算定することとなります。

最後に、分割付与の根拠となる行政通達の内容をあげておきます。
(平成6年1月4日基発1号)
年次有給休暇について法律どおり付与すると年次有給休暇の基準日が複数となる等から、その斉一的取扱い(原則として全労働者につき一律の基準日を定めて年次有給休暇を与える取扱いをいう)や分割付与(初年度において法定の年次有給休暇の付与日数を一括して与えるのではなく、その日数の一部を法定の基準日以前に付与することをいう)が問題となるが、以下の要件に該当する場合には、そのような取扱いをすることも差し支えないものであること。
イ、斉一的取扱いや分割付与により法定の基準日以前に付与する場合の年次有給休暇の付与要件である8割出勤の算定は、短縮された期間は全期間出勤したものとみなすものであること。
ロ、次年度以降の年次有給休暇の付与日についても、初年度の付与日を法定の基準日から繰り上げた期間と同じまたはそれ以上の期間、法定の基準日より繰り上げること。
(例えば、斉一的取扱いとして、4月1日入社した者に入社時に10日、1年後である翌年の4月1日に11日付与とする場合、また、分割付与として、4月1日入社した者に入社時に5日、法定の基準日である6ヵ月後の10月1日に5日付与し、次年度の基準日は本来翌年10月1日であるが、初年度に10日のうち5日分について6ヵ月繰り上げたことから同様に6ヵ月繰り上げ、4月1日に11日付与する場合などが考えられること)

次回第4弾「時間単位年休」もありますのでしばらくお待ち下さい。

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