海外の支店で雇用した現地の従業員を日本で就業させるには・・・
こんな質問がありました。
Q、「わが社の海外駐在所で雇用した現地の従業員を日本で就業させるには(期間を定めて)どのような手続きが必要でしょうか?ビザとかもよくわからなくて・・・新たな雇用契約や社会保険などの加入はどうなりますか?」
A、「属地主義」という考え方があります。日本の労働法令につきましては、原則日本国内の事業所にのみ適用されます。現地で雇用された際には日本の労働法令に基く措置は採られていないはずです。
よって、たとえ期間限定であっても日本の本社で当該本社の指揮命令の下に業務を行わせる場合には、改めて労働基準法及び労働契約法に基き労働契約を文書で締結する事が必要となります。その際は本社の就業規則も適用されますので、労働条件は原則として就業規則の定めに沿った内容とする事が求められます。
当然ながら外国人とは、使用言語が異なるため、口頭での取り決めだけでは認識のずれから後々トラブルとなることも想定されます。そのため、給与・手当・勤務地・福利厚生(住居等)から家族帯同の有無・就業期間の延長に関する取り決めまでを当該従業員の使用言語に合わせた書面にて契約を交わし、認識の齟齬が生じないようにするべきであると考えます。
なお、在留外国人には、複数の課税区分があり、居住期間に応じて、「非居住者」・「居住者」の大区分があり、居住者はさらに「非永住者」・「永住者」と分けて区分されます。「居住者」については源泉税されることを契約に定める必要があります。
最後に雇用保険・社会保険についてですが、外国人であっても在留資格を持ち、週20時間以上の労働時間で今後31日の雇用が見込まれるのであれば雇用保険の加入義務があります。但し、母国で雇用保険に加入しており、日本での就業期間も短期となる場合には、例外的に加入しなくても良いとされています。
社会保険については、日本法人が給与を支払う場合で、2ヵ月を超えて日本で就業させる場合に加入義務が生じます。
言葉の壁がどうしても生じますので、きちんとした対応が必要ですね。