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part2、会社の業績が思わしくなく、賞与(従業員、役員含め)を不支給にしたいのですが、問題ありませんか?

こんな問い合わせがありました・・・
Q、業績不振を理由に、役員賞与および従業員の賞与を不支給にしたいと考えています。
その際の適切な伝達の時期、伝達方法、また、納得の得られる話し方などについて教えてほしいのですが・・・

A、前回からの続きです。
本題に入ります。では実際に従業員への賞与と役員賞与の違いからまとめてみます。
1、役員賞与について
(1) 定款・総会決議による決定 
 取締役が会社から受ける報酬,賞与その他職務執行の対価である財産上の利益(報酬等)については,形態に応じ,次の各事項を,定款でそれを定めないときは,株主総会の決議により定めなければなりません(会社法361条1項,最判平成15.2.21)。
  ① 報酬等のうち額が確定しているものについては,その額
  ② 報酬等のうち額が確定していないものについては,その具体的な算定方法
  ③ 報酬等のうち金銭でないものについては,その具体的な内容

(2) 賞与の不支給について
 賞与については,上記(1)①に基づき,株主総会決議により賞与を含めた役員報酬総額の最高限度額を定め,各取締役に対する配分額の決定は,取締役会設置会社の場合には取締役会の決定,取締役会設置会社以外の会社においては取締役の過半数による決定,取締役の協議等によることとするのが多くの会社の例かと思います。
 この場合,「不支給」すなわち配分しないことについても,取締役会の決定など当該会社で決めた決定方法に従う必要がありますので,当該会社における役員賞与の決定方法を確認することが最重要事項となります。

(3) 金額決定後の減額(不支給を含む)について
 なお,上記(2)の基準に基づき金額を具体的に決定した賞与額を不支給としたり,既に賞与も含めた各人の年俸総額のようなものが決定しているにも拘らず不支給とする場合には,すでに決定された額は取締役と会社間の契約内容となるため,本人の同意が無い限り,株主総会決議によっても報酬等の額を減額することはできませんのでご留意ください(最判H4.12.18)

(4) 説明の仕方について
 説明の時期や伝達方法等は,上記(2)または(3)のいずれに該当するのかにより全く異なり,個別具体的状況を踏まえる必要がありますが,一般的に支給時期にある程度余裕をもってご説明いただく方が良いかと考えます。
また,既存のルールを踏まえ,真に業績不振を理由とするのであればその旨を丁寧に説明することはいずれにせよ肝要かと考えます。

2、従業員賞与について
(1) 不支給の可否について
 従業員賞与の不支給については,まずは,就業規則上,賞与の決定方法がどのように定められているかによります。
 就業規則上支給基準が具体的に定められており,具体的な金額が算出できる(金額の確約)内容となっているような場合,確約された賞与を不支給とすることは労働条件の不利益変更に該当するものであり,不支給を有効に行うためには変更の合理性が必要になります(労働契約法10条)
 他方で,金額を確約するものでなく,会社業績を踏まえて会社が決定する旨が定められているなど金額の確約にあたらない場合には,不支給とすることも可能であるのが通常です。
 ただ,就業規則上のルールが金額を確約しないものであっても,就業規則外で「基本給〇か月分」を確約する旨の説明があったり,一定金額を支給することが「労使慣行」として確立されていると言える場合には,上記労働条件の不利益変更と同様の議論になるため注意が必要です。

(2) 説明の仕方について
 なお,伝達方法など説明の仕方については,上記(1)記載のいずれに該当するかにより全く異なり,個別具体的状況を踏まえる必要がありますが,既存のルールを踏まえ,真に業績不振を理由とするのであればその旨を丁寧に説明することはいずれにせよ肝要かと考えます。

2回にわたり詳しく書いてきました。
賞与に関しては、会社の業績により上下しますので、「〇か月分」、などと就業規則などへ記載してしまうと・・・
いずれにしても、従業員、役員共に納得する形で、対話を密にして、きちんと説明を丁寧に行う、ということが何よりも重要かと思います。原資がないのに無理に出すこともできませんし・・・
日頃からの会社側と従業員側の関係が大切になりますので、今回の事態を踏まえ、色々とみ見直してみてはどうでしょうか。

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