健康保険に関して、両親を扶養に入れる条件を教えてほしいです。
この前の続きです。こんな問い合わせがりました。
Q、次の方ですが、健康保険の扶養に入れることはできますでしょうか。
<Cさんの場合>
Cさんの年収は500万円、父65歳(64歳まで自営業 年金の受給を開始 年間78万円)、両親とは別居しています。
父をCさんの扶養に入れるため、仕送りを月10万円するとしますと、父の収入は年金78万円/年・仕送り120万円/年 を合わせて合計198万円となります。年収が198万円と判断され、扶養に入れないということになりますでしょうか。年金のみを判断材料としてくれるのでしょうか。
<Dさんの場合>
Dさんの年収400万円、父65歳(年金収入 年間80万円)、母65歳(年金収入 年間80万円)、両親とは別居しています。
父母ともに扶養に入れるためには、仕送りはどれくらい必要でしょうか?
A、再度、大前提で、
被扶養者に収入がある場合の「収入要件」は、被保険者1人に対してご家族が1人の場合が前提となっています。
夫婦間には相互扶助義務がございますので、母親を扶養するのはまず「父親」となります。収入要件から被扶養者になる可能性がある場合にも、実際に被保険者が母親の生計を「主として」支援しているのかどうか、その状態が継続しているか、他に共同扶養義務者はいるかなどから総合的に判断がされます。
保険者(健康保険組合等)はそれぞれ独自の認定基準がありますので、一概に回答することはできませんことをご留意ください。
<Cさんの場合>
被保険者からの仕送り額は収入には含めません。年金のみが年収180万円の判断材料となります。ただし、被保険者以外の者からの仕送りは収入に含まれます。
<Dさんの場合>
父親、母親の収入は80万円ですので、父親、母親それぞれに対して80万円を超える仕送りが収入要件としては必要となります。ただし、両親合わせた収入を元に判断基準を設けている保険者もあるため、やはり個々にお問合せしていただく必要がございます。
また、年収400万円の被保険者が両親に合計160万円の仕送りをした場合には、自身の生計費が240万円となります。被保険者に配偶者の被扶養者が既にいる場合には、一人あたりの生計費が120万円となり、父親、母親の生計費(年金収入+仕送り)180万円よりも低額となってしまいます。このような生計費についても扶養認定の条件としている保険者もあり、その場合には扶養認定はされません。
仕送りをいくらなら被扶養者とすることができるかについての回答は、保険者の認定基準、被保険者の家庭の状況、別居の両親の家庭の状況など、いろいろなケースがあり、一概に回答することはできません。会社が加入している健康保険の認定基準を確認した上で、扶養認定について正しい運用がされるよう状況調査(両親に同居家族はいるか、他に仕送りを受けているか、年金以外の収入の有無等)をし、お問合せをお願い致します。
◆被扶養者の範囲
1.被保険者の直系尊属、配偶者(事実上婚姻関係と同様の人を含む)、子、孫、兄弟姉妹で、主として被保険者に生計を維持されている人
※これらの方は、必ずしも同居している必要はありません。
2.被保険者と同一の世帯で主として被保険者の収入により生計を維持されている次の人
※「同一の世帯」とは、同居して家計を共にしている状態をいいます。
① 被保険者の三親等以内の親族(1.に該当する人を除く)
② 被保険者の配偶者で、戸籍上婚姻の届出はしていないが事実上婚姻関係と同様の人の父母および子
③ ②の配偶者が亡くなった後における父母および子
※ただし、後期高齢者医療制度の被保険者等である人は、除きます。
◆収入の基準
被扶養者として認定されるには、主として被保険者の収入により生計を維持されていることが必要です。認定については、以下の基準により判断をします。
ただし、以下の基準により被扶養者の認定を行うことが実態と著しくかけ離れており、かつ、社会通念上妥当性を欠くこととなると認められる場合には、その具体的事情に照らし保険者が最も妥当と認められる認定を行うこととなります。
【認定対象者が被保険者と同一世帯に属している場合】
認定対象者の年間収入が130万円未満(認定対象者が60歳以上または障害厚生年金を受けられる程度の障害者の場合は180万円未満)であって、かつ、被保険者の年間収入の2分の1未満である場合は被扶養者となります。
なお、上記に該当しない場合であっても、認定対象者の年間収入が130万円未満(認定対象者が60歳以上または障害厚生年金を受けられる程度の障害者の場合は180万円未満)であって、かつ、被保険者の年間収入を上回らない場合には、その世帯の生計の状況を果たしていると認められるときは、被扶養者となる場合があります。
【認定対象者が被保険者と同一世帯に属していない場合】
認定対象者の年間収入が130万円未満(認定対象者が60歳以上またはおおむね障害厚生年金を受けられる程度の障害者の場合は180万円未満)であって、かつ、被保険者からの援助による収入額より少ない場合には、被扶養者となります。