■シリーズ年次有給休暇 No,1「年次有給休暇」とは・・・
年次有給休暇とは、一定期間勤続した労働者に対して、心身の疲労を回復しゆとりある生活を保障するために付与される休暇のことで、「有給」で休むことができる、すなわち取得しても賃金が減額されない休暇のことです。
年次有給休暇が付与される要件は2つあります。
(1)雇い入れの日から6か月経過していること、
(2)その期間の全労働日の8割以上出勤したこと
この2つです。この要件を満たした労働者は、10労働日の年次有給休暇が付与されます。また、最初に年次有給休暇が付与された日から1年を経過した日に、(2)と同様要件(最初の年次有給休暇が付与されてから1年間の全労働日の8割以上出したこと)を満たせば、11労働日の年次有給休暇が付与されます。その後様に要件を満たすことにより、次の表1に示す日数が付与されます。
雇入れの日から起算した勤続期間 |
付与される休暇の日数 |
---|---|
6か月 | 10労働日 |
1年6か月 | 11労働日 |
2年6か月 | 12労働日 |
3年6か月 | 14労働日 |
4年6か月 | 16労働日 |
5年6か月 | 18労働日 |
6年6か月以上 |
20労働日 |
年次有給休暇は、労働者が請求する時季に与えなければならないと労働基準で定められています。使用者は、労働者が請求した時季に年次有給休暇を与ることが事業の正常な運営を妨げる場合にのみ、他の時季に年次有給休暇をえることができますが、年次有給休暇を付与しないとすることはできません。
※この時季変更権は次回詳しくやります。
パートタイム労働者など、所定労働日数が少ない労働者についても年次有給暇は付与されます。
ただし、上記の場合よりも少なく、比例的に付与されます。具体的には、次の表のとおりとなります。
所定労働日数 | 勤続年数に応じた有給休暇の付与日数 | |||||||
1週間 | 1年間 | 0.5年 | 1.5年 | 2.5年 | 3.5年 | 4.5年 | 5.5年 | 6.5年 |
4日 | 169日~216日 | 7日 | 8日 | 9日 | 10日 | 12日 | 13日 | 15日 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
3日 | 121日~168日 | 5日 | 6日 | 6日 | 8日 | 9日 | 10日 | 11日 |
2日 |
73日~120日 | 3日 | 4日 | 4日 | 5日 | 6日 | 6日 | 7日 |
1日 | 48日~72日 | 1日 | 2日 | 2日 | 2日 | 3日 | 3日 | 3日 |
一般の労働者(週所定労働時間が30時間以上、所定労働日数が週5日以上の労働者、又は1年間の所定労働日数が217日以上の労働者)には、最初の表が適用されます。2つ目の表はは、週所定労働時間が30時間未満で、かつ、週所定労働日数が4日以下、又は1年間の所定労働日数が48日から216日までの労働者に適用されます。
このパートタイム労働者の有給があまり与えられていない現状があります。
例え週1回で数時間しか働いていない方でも、権利がある場合がありますのでご注意ください。
この有給の管理が難しいところです。例えば、入社時期が一斉であれば管理も容易なのですが、中途採用などが多く、各個人で付与日が異なる場合などはしっかり個別での管理が必要です。
また、そのような場合の特殊な付与方法(4月1日や10月1日等に一斉に付与する)もありますので、専門家に管理を委ねるのも1つの手です。
また、有給休暇の取得は従業員の権利であることから、法律上、有給休暇は、「労働者の請求する時季に与えなければならない」と定められています(労働基準法第39条第5項)。
したがって、有給休暇の取得を会社が拒否するなどして、有給休暇を取得させないことは、法律に違反することとなります。
ただ、次回詳しくやりますが「時季変更権」という会社側の権利もありますので、双方いい形で休んで頂く、これが基本的には追及していく所となります。