労基署からの是正指導があり、残業単価が低くなっており遡及して支払うようにと・・・
こんな問い合わせがりました・・・
Q、労働基準監督署の定期監督があり、給与計算の残業単価の計算式が間違っていたため(年間休日が変動しているのにずっと固定で計算していたため、年間休日が多い年に実態より残業単価が低くなってしまっていた)、差額を計算し遡及して従業員へ支払うように指導を受けました。
計算方法の間違いは認めるものの、遡及支払いまで行うと多大な費用が発生してしまうため、今後の改善は行うが遡及支払いはしないで是正報告をしたいと考えています。
監督官は将来についての是正指導する権限はあるが、遡及支払いまでの権限はないと聞いています。ただ、法的に問題ないのかどうか・・・
A、是正指導については、一般に、法令違反にはならないが改善した方が良い場合や法令違反になる可能性がある場合にそれを未然に防止する趣旨で行われます。
今回の指導内容は、残業単価の計算間違いの指摘ですので、再計算したら未払残業代が発生するのであれば、将来的に法令違反につながるため指導したと捉えることが出来ます。
そのため、再計算した結果、法令違反の状態が生じてしまっているのであれば、遡及支払いすることでの是正報告をしたほうが望ましいといえます。
ただ、遡及支払いを実施すると会社の体力がもたず、会社が倒産してしまうなどの事情があれば、率直に労働基準監督署に相談の上是正報告をするべきかと存じます。その際には、従業員から未払残業代請求の放棄承諾書のようなものを取り付けることも考えられます。
仮に、遡及支払いをしない旨の是正報告をした場合に、労働基準監督署から是正勧告などの措置が取られることもあるかと思いますので、その点を踏まえて、是正報告を行ってください。
体力的に厳しければ、正直に従業員と交渉をして、できうる限りの姿勢を見せて納得いただくことが最善策かと思います。