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佐藤なうsato-now

パワハラに関して教えてほしいのですが・・・

以下のようなご質問がありました。

Q、会社の従業員が上司から呼び出され、話し合いを行うことになりました。
その時すでに、従業員と上司の関係はこじれており「パワハラ的な言われ方をされるかもしれない」と思った従業員は、あらかじめ会議室に携帯を仕掛け、録音をしていました。
結局、話し合いの中では暴言等は出なかったのですが、話し合い後、従業員のみが退室を命じられ携帯を回収できないまま、会議室を出ました。そして、上司たちの話し合いが終わった後で、携帯を回収し、録音内容を聞くと、その場にはいない従業員に対する暴言が記録されていました。
上司たちは、本人はもちろん、周りの社員の耳にも入らないよう配慮した会議室内での発言なのですが、このようなケースでもパワハラになるのでしょうか?
また、このような録音は証拠として採用されるのでしょうか?
よろしくお願いします。

A、いくつか論点があるのですが、まずはパワハラに該当するかどうか
まず、職場のパワーハラスメントとは、同じ職場で働く者に対して、職務上の地位や人間関係などの職場内の優位性を背景に、業務の適正な範囲を超えて、精神的・身体的苦痛を与える又は職場環境を悪化させる行為をいいます。
そして、従業員に直接向けられたものでなかったとしても、例えば、会議室内の上司らの発言内容が職場に広がって職場内で嫌がらせ等が発生したような場合や、会議室内での発言を前提として職場内で上司が指導や注意等が行われたような場合において、それが業務の適正な範囲を超えて、精神的・身体的苦痛を与え、又は職場環境が悪化したといえるような場合には、職場のパワーハラスメントに該当する場合もあると考えられます。
今回のケースですと、会議室内での上司らの発言内容にもよりますが、「本人はもちろん、周りの社員の耳にも入らないよう配慮した中での発言」であり、会議においては、判断の客観性、信頼性を確保するために自由に発言し、討議されることが保障される必要があること等を踏まえると、業務の適正な範囲を超えたものと判断されパワーハラスメントであると認定される可能性は高くないと考えられます。※あくまでも深く事情を聞かないと正確にはこたえられませんが・・・

A、録音は証拠になるか
民事訴訟法では、一般的に証拠能力を制限する規定を設けていないことから、違法に収集された証拠であっても、それだけで直ちに証拠能力が否定され、証拠の申出が却下されることはないといえます。もっとも、いかなる違法収集証拠も証拠能力を否定されないとすると、違法行為を助長し、法秩序の意地を目的とする裁判制度の趣旨にもとる結果ともなりかねず、民事訴訟における公正性の要請、当事者の信義誠実義務に照らすと、当該証拠の収集の方法及び態様、違法な証拠収集によって侵害される権利利益の要保護性、当該証拠の訴訟における証拠としての重要性等の諸般の事情を総合考慮し、当該証拠を採用することが訴訟上の信義則に反すると言える場合には、例外として、証拠能力が否定され、証拠の申出が却下されると考えられています。
裁判例でも、非公開の委員会審議における発言について無断でされた録音体について、証拠から排除すべきと判断されたものがあります(東京高裁平成28年5月19日判決)。
ご相談の件について、従業員の方は、自分の退室後の録音は予定していなかったとはいえ、退室を命じられた後にその従業員の権限外の事柄を協議する会議の発言について携帯電話で無断で録音を行い収集したものですので、場合によっては、収集の方法及び態様等を総合考慮し、証拠を採用することが訴訟上の信義則に反するとして、証拠の申出が却下される可能性があるといえます。
※こちらも詳しくは弁護士の方にお尋ねになるのが賢明です。

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