「障害者雇用ビジネス」をご存じですか。法定雇用率の引き上げの陰で、気になるニュースが続いています
先日、このブログでも、令和8年7月から障害者の法定雇用率が2.7%に引き上げられたことをお伝えしました。その後、関連するニュースが続いているので、今日はそのお話をさせてください。
「障害者雇用ビジネス」という言葉を、ご存じでしょうか。障害者を雇用する企業に代わって、就労の場所や業務を提供する事業のことです。法定雇用率が段階的に引き上げられるなかで、この仕組みを利用する企業が増えています。時事通信の記事によれば、令和7年10月末の時点で、提供事業者は46、利用企業は少なくとも1,802社にのぼるそうです。
便利な仕組みに見える一方で、気になる報道が続いています。障害者の方に、本業とは関係のない農園などで作業をしてもらい、ほかの社員との接点がほとんどない。雇用管理そのものを、事業者に丸投げしてしまう。こうした不適切な事例が、報告されているとのことです。
こうした状況を受けて、9月30日、全国36社でつくる業界団体が、初めて自主指針を策定しました。障害者を雇う企業の責任の範囲と、支援する事業者の役割を明確にし、雇用主としての責任を事業者が代わりに負ったり、責任の所在をあいまいにしたりするような支援を、禁止する内容です。障害者の仕事が、雇用する企業の本業につながるようにすること、ほかの従業員と関わる環境づくりを支援することも、原則として示されています。
ところが、指針の発表から間もない10月11日、気になるニュースが報じられました。調剤薬局大手の子会社で、障害者雇用ビジネスを通じて雇われた障害者およそ50人が、9か月で、事実上、雇用を打ち切られていたというものです。就職前には「1年半のプラン」と説明されていたとのことで、関係者によれば、業者任せの就労管理が、背景にあった可能性があるとされています。
自主指針ができたばかりのタイミングで、こうした報道が出てきたことに、私は、強い危機感を持っています。法定雇用率の引き上げは、障害のある方が、希望や能力に応じて働ける社会をつくるためのものです。それが、数字合わせのための「外部委託」になってしまっては、本末転倒だと感じます・・・。
厚生労働省は、事業開始の届出を義務化するなど、障害者雇用促進法の改正を検討しているとのことです。障害者雇用ビジネスを利用されている企業様、これから利用を検討されている企業様は、委託先の事業者がどのような就労管理をしているか、一度、確認していただくことをおすすめします。数字を満たすことだけでなく、実際に働く方が安心して働ける環境かどうかを、見ていただければと思います。



