仕事が終わってから、次の仕事まで何時間空いていますか。勤務間インターバルの議論が進んでいます
10月14日、厚生労働省の労働政策審議会労働条件分科会(第212回)が開かれ、「勤務間インターバル制度」「つながらない権利」「労働時間の把握」の3つが議題になりました。新聞やテレビでも取り上げられていたので、目にした方もいらっしゃるのではないでしょうか。
勤務間インターバルとは、仕事が終わった時刻から、次の日の仕事が始まる時刻までの間に、一定時間以上の休息時間を確保する仕組みです。たとえば、休息時間を11時間と決めている会社で、夜23時まで残業した場合、翌日の始業時刻を8時から10時に繰り下げる、といった運用になります。
この仕組みは、平成31年4月1日から、労働時間等設定改善法で事業主の努力義務になっています。ただ、あくまで「努めなければならない」という規定で、休息時間を何時間にするかも決められていません。
では、実際にどのくらいの会社が導入しているのでしょうか。厚生労働省の就労条件総合調査によると、令和7年に導入している企業は6.9%でした。一方、「導入予定はなく、検討もしていない」企業は78.7%にのぼります。その理由で最も多いのは、「超過勤務の機会が少なく、導入する必要性を感じない」の57.3%で、「制度を知らなかった」という企業も19.9%ありました。
実は、医師やトラックなどの自動車運転者には、すでに休息時間のルールがあります。たとえば自動車運転者は、継続11時間以上とするよう努めることを基本とし、9時間が下限とされています。また、海外に目を向けると、EUの指令では1日11時間の休息が基本で、イギリス、フランス、ドイツでは罰則付きで義務付けられています。
今回の分科会で示された論点は、制度をより実効性のあるものにするために、「法的位置付け」を含めてどのような措置を講じるべきか、というものです。これまでの議論では、労働者側からは「11時間のインターバルを義務化する方向で検討すべき」という意見が出ています。一方、使用者側からは「原則11時間というような画一的な規制には反対」「初めから罰則付きではなく、段階的に進めるべき」といった意見が出ており、まだ結論は出ていません。
また、資料の中で、睡眠時間についてのデータも紹介されていました。働く人の理想の睡眠時間は「7〜8時間未満」が45.4%で最も多いのに、実際の睡眠時間は「5〜6時間未満」が35.5%で最も多かったそうです。国際的に見ても、日本人の睡眠時間は短いといわれています・・・。
私は、勤務間インターバルは、「残業を減らす制度」というより、「次の日の朝を守る制度」だと思っています。残業がほとんどない会社でも、トラブル対応や繁忙期など、たまに夜遅くまで働く日はあるはずです。そんな日の翌朝、始業時刻を少し遅らせることができるだけで、働く人の安心感はずいぶん違うのではないでしょうか。
もちろん、中小企業では人手に余裕がなく、取引先からの急な依頼もあるため、一律に義務化されると困るという声も、よくわかります。ただ、今回の資料で紹介されている導入企業の例を見ると、「11時間を確保できなかった日は、翌日の始業時刻をずらす」「確保できなかった時間は働いたものとみなす」など、それぞれの会社の実情に合わせた工夫をしています。
今すぐ義務になるわけではありませんが、議論の行方によっては、就業規則の見直しが必要になるかもしれません。まずは、自社の従業員が、仕事が終わってから次の仕事まで、どのくらい休めているのかを、一度確認してみてはいかがでしょうか。今後の動きも、このブログでお伝えしていきます。



